いのちを食べるということ

今回、皆さまに知って頂きたいのは、自然ではなく、人間社会に殺されていくブタたち家畜の殺処分のお話です。

口蹄疫という病気で殺処分を命じられた、とある宮崎県の畜産農家の心境を綴ったブログを紹介します。 

(方言が強かったので、すこしいじりました。関西弁に。。)

彼は本当に豚さん達と真剣に向き合って肥育していて、口蹄疫問題が発生するまでは、いつも面白おかしく豚舎での話をブログに書いていました。

 

「俺によく懐いてくれてる、ちょっと巻き毛の母豚がいてな… ただ、こいつがさ、なかなか上手に水を飲めないやつでな、いっつも俺が飲ましてやってて、

時々、俺のひざに頭をのっけて休むんよ(笑)200kgもある母豚だから、頭だけでも重たいんや(笑)。

ただなぁ、こいつになかなか子供が授からなくて、何度も仕込ませてみたんやけど… なんでかこいつだけ子供ができんかった。

「お前どうしたっ?お前も子供産んでみたいやろう。次こそ頑張ろうなぁ。」と言って、首に抱きついてあげたりしてた。

でもな! 先月ついに赤ちゃんが出来たことが分かってな。「よう頑張った!!!やっとお前も赤ちゃんが産めるな。よかったな!」

って喜んでその母豚カードにでっかく「成功」!って書いたばっかりやったけど。

・・・もう殺さないといけない。 自分の赤ちゃんを産ませてあげられなかった!!ごめんなぁて言うしかなかった。。。

殺されてしまうブタたちにせめて今だけは、腹いっぱいエサ食えよ。って大量に準備してあげるんやけど。

感染した子豚たちの蹄からは出血が始まり、上手に歩けなくなってビービー泣いてる。

母豚は乳首のところがただれ始めて、真っ赤になって血を流している。それでもむしゃむしゃエサを食べるやつは食べる。

でも、鼻や口の水疱が破けて、まともにエサが食べれないやつは、俺が手で食べさせてやってた。 鼻も口元も蹄も乳首も痛々しいのに、俺を見つめる目はやさしくて。

なんだか、向こうがごめんよ〜言ってるみたいや。

また、明日そいつらの所に行って、声をかけてあげなければ、ならないんやけど、どんな顔をして、なんて声かければいいか、わからない!」(泣)

 

ブログを書いた彼は、感染を防ぐための消毒活動を徹底的にやっていました。 自分の車の中にまで消毒液を振りまいていました。 毎日毎日石灰を道路に撒いていました。

必死に目に見えない敵と戦い、守ろうとしてきた家族を失いました。 お腹に赤ちゃんを宿した母豚に、すがり泣く彼のことを思うと居たたまれないのですが、

その感染を確認した豚舎では日に日に症状を示す豚が増えてきて、エサが食べられなくなったり、亡くなったりしてきて、

豚舎内が消石灰をかけられた死体置き場へと変わっていきました。

2010年5月6日に感染の疑いが出た養豚場です。その時点で全頭処分が決定していたのですが、埋設処理が始まったのは・・・5月14日です。

すでに9日が過ぎています。ここまでの数日間、いったい彼はどんな光景を見てきたのでしょうか。どんな思いで、豚舎を見て回っていたのでしょうか。。。

 

 「何十人と獣医師が来たけど、かき集められた経験の浅い獣医師たちは母豚を怖がってまともに注射も打てん。

首筋の静脈に注射を打たないといかんのに、柵の外から身を乗り出してお尻に打とうとする。

バカじゃねーか!豚だって生きてるし、痛いから、ひょいと逃げよる。 しょうがないから、俺が柵に入って豚の首をガシって押さえつけてやるんや。

豚の首は突き刺した注射のあとだらけや。痛々しいわ。豚はギャーギャー暴れるし。 ちくしょーーちくしょーーー!もっと安らかに死なせてやってくれ。

でもよ、みんな目に涙を浮かべながらも作業してくれてるし、中には手を合わせてくれる人もいる。

今まで、命を助けるために動物に声をかけ、一生懸命働いてきた獣医師が・・・ この注射を打ったら、こいつが死ぬって分かりながら注射を打っている。

そりゃあ人としてつらいし、心が痛いわなぁ。俺たちは歯を食いしばる事しかできひん。

 俺はさ、もともと出荷のための豚ならなんとか、あきらめがついていた。出荷だと思えばいいから。

でも、母豚は。ずっと面倒見てきた、性格もよく分かる。顔見りゃ名前も、出産した回数も。甘えん坊、気性の荒い奴、優しい奴、み〜んな分かる

共に生活してきた家族なんや。でっかい母ブタは、蹄が炎症起こして血を流してるもんは痛いから立ち上がれなくて、ずっと横になってギャーギャー言ってる。

でも、立ち上がらせて殺処分するところまで連れて行かないといけないから、鎮痛剤を打ってやる。

注射を打たれる姿に耐えられなくて、離れたところから見てたら、獣医師の腕をふりほどいてこっちに走ってくるや。

でも蹄からも血が出て、腐ってるから蹄が取れていく・・・赤くなった蹄だけが地面に転がってるんや・・・

それでも、蹄が無くなった足で、俺の所に駆け寄ってくる。。。はやく何とかしてやってくれ。。。

ある程度の大きさのブタは電気で殺すんや。 でっかい火ばさみみたいな物でまず頭を挟んで、スイッチを入れると高圧電流が流れ失神する。

そして、そのあとに胸の所を挟んで心臓に電流を流して殺す・・・。 さっきまで震えて泣きよったやつが、突然静かに死体となる。

それでも時々、ショベルで掘った、埋める穴の中に落とした時に、生き返って動き出すやつがおるんよ。気絶してただけなんやろうな。

哀れでなぁ、また殺さないといけない・・・。まだまだ元気な奴らはさ、どんどん穴の中に落としていくんや。みんなで板を使って追いやって穴に落としていく。

一番下に落とされた豚たちは熱と重さで圧迫死していくけど、後から後から落とされた豚は、どんどんジャンプして穴から必死に飛び出ようとする。

その生きようとする動物の必死さにまた泣けてくる・・・・

その上からブルーシートをかぶせて、大きな板を上において、飛び出してこんように俺たち人間が上に乗っかると・・・

下から・・ドンっ!ドンっ!て必死にぶつかってくるんや。

ブルーシートの隙間からホースを入れて中にガスを流し込む・・・ すると、だんだん静かになってきて…しばらくするとシーンとなるんや。

作業員達があちこちで殺処分をしてる。 豚舎の中からギャーギャーって今まで聞いた事もないような泣き声があちこちから聞こえてくる。

赤ちゃん豚が不安な様子でジッとしてる。 周りの異常な雰囲気を感じてるんやろ。

ひょいっと両手で掴み上げると、体をグッと堅くして不安げに体をブルブル震えてるのが手のひらから伝わってくる。

ごめんなぁ、ごめんなぁ。

その幼い体に注射針が刺されて、静かにぐったりと手の中で重みだけを感じる物体になる。 さっきまで硬かった赤ちゃん豚の力が抜けて何の力も入らない柔らかい物になる。

 もうどんだけの涙が流れ出たかわからん。

家に帰って、風呂に入って、飯はとても食べれへんから、焼酎飲みながらテレビをみてると。

・・・いつのまにかボロボロボロボロ泣いてるんや。

豚は言葉がしゃべれんけんど。もしも、自分の子供を、「なんで?」って言われながら、国からの指示やから言うて・・・大好きやのに・・・手の中で殺せるか?

 

発生から1ヶ月が過ぎた5月20日、159軒で13万258頭の殺処分が言い渡されました。

放送規制がかかって、なかなか私たちが当事者になって物事をみる事は出来ません。

ニュースでの「5月20日、159軒で13万258頭の殺処分が言い渡されました。」という言葉の重み。

食べ物は残したらいけない。なぜなら、ブタからしたら、出荷も、殺処分も差異はないからです。

 

現在、日本で消費される食べ物は、年間6700万トンありますが、そのうちの約3分の1の2300万トンが捨てられているそうです。

これは、食べ物を「いのち」として見ていないからです。もしも食べ物を「いのち」として見ていたらこのような現実は起こらないはずです。

もしかしたら、皆さまのなかには、ベジタリアンといってお肉を食べない方も居られるかもしれません。しかし、野菜を作るのにも、育てる過程で小さな虫を殺しています。

法華経に至っては、樹木や草花、石ころでさえ生きていると説かれています。私たちが生きて行く為には、「いのち」を食べ、「いのち」で「いのち」を繋いでいくしかないのです。

それでは、私たちは普段どのような心もちで食事をしたらいいのでしょうか?

仏教では、次のように受け止めます。

日蓮聖人は、『王日女御返事』という書物の中で

「稲は変じて苗となる 苗は変じて草となる 草変じて米となる 米変じて人となる 人変じて仏となる」

と仰られています。

食べ物を粗末にしない、残さないというのは、当たり前。

「いのち」から頂いたエネルギーの使い道をあなたに問われているのです。

ダラダラ過ごしたり、あなたの振る舞いで人を傷つけていては、食べられた「いのち」も浮かばれません。

 エネルギーを無駄に消費するのではなく、人のために、善い行いをするために使いましょう。

そうすれば、食べられた「いのち」の供養にもなり、恩返しにもなります。

さぁ 今日も一日がんばりましょう〜!