良き友人


良き友人

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ユングやフロイトと並び、心理学の三大巨頭とされるオーストリアの心理学者のアルフレッド・アドラーは、
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と提唱しています。
全ての悩みが対人関係にあるとは思いませんが、確かに私たちの悩みのほとんどは、対人関係にあると思います。
私たちが生きて行く為には、必ず他者との関わりが必要になります。
学校で、職場で、保護者会で、ご近所でと多くの人との繋がりを持ちます。
しかし、そこには必ずと言っていい程、苦手な人、好きになれない人がいます。
それと同様に、自分の事をよく思わない人とも出会わなければなりません。
自分が如何に正しく清く生きるように心がけていても、
悪が正義を嫌うように、万人に好かれるということはありません。それは、お釈迦さまとて例外ではありません。

お釈迦さまのお弟子に提婆達多(ダイバダッタ)という者がいました。
提婆達多は、お釈迦さまに歯向かい、教団の分裂を企んだり、
あろうことか二度もお釈迦さまを殺害しようとまでしました。
それでは、お釈迦さまは、自分を殺そうとした提婆達多のことをどう思っていたのでしょう。
『妙法蓮華経提婆達多品第十二』に
「等正覚を成じて衆生を度すること、皆、提婆達多が善知識に因るが故なり」
つまり、「わたしが悟りを得て、広く衆生を救うことが出来るのも提婆達多という良い友人を持ったからだ」
と仰られているのです。本当にお釈迦さまの慈悲深さには驚かされます。
凡夫にはなかなか理解できない境地かもしれません。
しかし、私たちの周りにも提婆達多はいます。
自分の意見に賛同してくれる人、認めてくれる人だけが良い友人ではありません。
自分を批判し、自分の事を見つめ直させてくれる人も同じ良い友人なのです。
同じ土俵に立って争うのではなく、批判してくれる人の意見にこそ耳を傾けてみて下さい。
また危害を加える人には、慈悲の心を起こして許せるように心がけてみて下さい。
それこそが、あなたを強くし、大成させる、仏の道なのです。