雨ニモマケズ


雨ニモマケズ

菩薩行とは、仏さまが慈悲の心を持って行う行動のことをいいます。もちろん仏さまを目指す私たち仏教徒が取るべき行動でもあります。

法華経を信仰されてた作家である宮沢賢治さんが法華経の世界観、菩薩行をひとつの詩に表しています。それが、有名な「雨ニモマケズ」です。文学的、宗教的に見てもこれほど素晴らしい詩はないと思います。
また、この詩には色々な教訓が込められてます。宮沢賢治さんが自分自身に言い聞かせるため、自戒のようなものとして書かれたものとも言われています。
それでは、少しずつ紐解いていきましょう。

少年期から青年期にかけて大病を幾度と患われた宮沢賢治が健康な丈夫な体と精神をもつ大切さから詩が始まります。そして法華経に説かれている「少欲知足」(欲を少なくして足るを知る)の精神が書かれています。
中盤部分には、まさに慈悲の心を持った行動を歌われてます。しばしば「慈悲」は、父母の愛に例えられます。例えば、夜中にあかちゃんが高熱を出した時に母親は可哀そうとあかちゃんと同じ気持ちになってあかちゃんと一緒になって泣いてあげます。これが「慈悲」の「悲」の心です。また父親は、赤ちゃんの熱を何とか治してあげようと夜中でも空いている救急病院を探します。これが「慈」の心です。
慈悲という心は、他者との心の壁を無くし、まるで相手のことを自分のように喜び、また悲しむ心を持つのと同時に、仏法という物差しで相手を理論的に正しい方向に導く術を知っていなくてはなりません。 その心が雨ニモマケズには美しく表されています。
また、詩の最後に「デクノボウ」という言葉がありますが、これは役立たずという意味ではなく、「操り人形」という意味です。宮沢賢治さんは違う作品で、私はお釈迦さま、日蓮聖人の手足となって法華経、お題目をみんなに伝えたいと言っています。