「蓮池図襖」の画材について 品川亮


「蓮池図襖」の画材について 品川亮

和紙に金箔、墨と言った伝統的な東洋絵画の画材とアクリル絵の具を使用しています。
僕は日本の絵画の更新を試みているので、 伝統的な素材を扱うことと同じくらい、
現代の技法も大切だと考えています。


今回描いている蓮の花は、森羅万象のようにさまざまな質感を使っています。
こういった絵具の質感には、なんというか絵画のロマンがあります。
ひとつひとつの凹凸や絵具の混ざり具合、刷毛の跡など、
目を這わすとその絵の中を旅している様な心地になります。
特に今回の様に大きな画面で、しかも金箔という光沢のある質感だと余計に強く感じられます。
金箔はまわりの環境によって見え方が変化します。
それによって、絵具は変わっていなくても、明るく見えたり、動いて見えたります。
観る人には、蓮の池に実際にいるかのような、
もしかしたら浄土の様な心地になってもらえたら、描き手としては幸せです。

今回、品川さんに襖絵を描いて頂き、2つの文章を寄せて頂きました。
ひとつは、「どのような想いで描いたのか」
そして今回の「技術的な面の考え」です。
私は、絵の見方は受け手の自由だと思います。
100人いれば、100通りの見方がありますし、その全てが正しいと思います。
しかも、同じ人でもどう捉えるかというのは気分や体調によっても異なります。
本当に自由でそれで良いと思います。
ただ、100年以上の作品を鑑賞するとき、作家さんはどんな思いで描いたのだろうといつも思います。
作家さんは亡くなっている場合もあれば、作家さんの名前さえ分からない時もある。
現代美術で出来る非常に大きな利点は作家の想いや考え方を
直接本人から聞けるということです。
作家さんの考えも見方の1つに過ぎませんが、絵画の見方に厚みが出ます。
今回作品に合わせて、快く文章を書いて下さった品川さんには感謝しかありません。
お寺として作家さん自身の考えを文字にして作品と合わせて
未来へと伝えていける一端を担わせて頂きます。


※写真は鞍留清隆さんに撮って頂きました
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